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等価

Moveは==!=の2つの等価演算をサポートします。

演算

構文演算Description
==等しい2つのオペランドが同じ値を持つ場合はtrueを返し、そうでない場合はfalseを返します。
!=等しくない2つのオペランドが違う値を持つ場合はtrueを返し、そうでない場合はfalseを返します。

等号(==)と不等号(!=)の両演算は、両方のオペランドが同じ型の場合にのみ機能します。

0 == 0; // `true`
1u128 == 2u128; // `false`
b"hello" != x"00"; // `true`

等価性と非等価性は、ユーザー定義型でも機能します。

address 0x42 {
module example {
struct S has copy, drop { f: u64, s: vector<u8> }

fun always_true(): bool {
let s = S { f: 0, s: b"" };
// かっこは必要有りませんが、この例では分かり易くするため追加しています。
(copy s) == s
}

fun always_false(): bool {
let s = S { f: 0, s: b"" };
// かっこは必要有りませんが、この例では分かり易くするため追加しています。
(copy s) != s
}
}
}

オペランドの型が異なる場合、型チェックエラーが発生します。

1u8 == 1u128; // エラー!
// ^^^^^ 'u8'型の引数が必要です
b"" != 0; // エラー!
// ^ 'vector<u8>'型の引数が必要です

参照の型

参照を比較する場合、参照の型 (不変または可変)は関係ありません。即ち、不変&参照と同じ基礎の型の可変&mut参照を比較できます。

let i = &0;
let m = &mut 1;

i == m; // `false`
m == i; // `false`
m == m; // `true`
i == i; // `true`

上記は必要な場合、各可変参照に明示的な凍結を適用する事と同等です。

let i = &0;
let m = &mut 1;

i == freeze(m); // `false`
freeze(m) == i; // `false`
m == m; // `true`
i == i; // `true`

しかし、基礎となる型は同じ型でなければなりません。

let i = &0;
let s = &b"";

i == s; // ERROR!
// ^ '&u64'型の引数が必要です。

制限事項

==!=は両方とも、比較する時値を消費します。その結果として、型システムはその型がdropを持つ必要が有る事を強制します。drop機能無しでそれを呼び出し、所有権は関数の終了までに転送される必要が有り、その様な値は宣言しているモジュール内でのみ明示的に破棄出来ます。これらが等価==または非等価!=のいずれかで直接使用されると、値が破棄されdrop機能の安全性の保証が破られます。

address 0x42 {
module example {
struct Coin has store { value: u64 }
fun invalid(c1: Coin, c2: Coin) {
c1 == c2 // エラー!
// ^^ ^^ これらのリソースは破棄されるでしょう。
}
}
}

しかし、プログラマーは値を直接比較するのではなく、常時 最初に値を借りる事が出来、参照型にはdrop機能が有ります。例えば、

address 0x42 {
module example {
struct Coin as store { value: u64 }
fun swap_if_equal(c1: Coin, c2: Coin): (Coin, Coin) {
let are_equal = &c1 == &c2; // 有効
if (are_equal) (c2, c1) else (c1, c2)
}
}
}

余分なコピーを回避する

プログラマーはdropである任意の値を比較 出来ます が、コストのかかるコピーを避けるため、参照によって比較する事がよく有ります。

let v1: vector<u8> = function_that_returns_vector();
let v2: vector<u8> = function_that_returns_vector();
assert!(copy v1 == copy v2, 42);
// ^^^^ ^^^^
use_two_vectors(v1, v2);

let s1: Foo = function_that_returns_large_struct();
let s2: Foo = function_that_returns_large_struct();
assert!(copy s1 == copy s2, 42);
// ^^^^ ^^^^
use_two_foos(s1, s2);

このコードは(Foodropを持っていると仮定して)完全に受け入れられますが、効率的ではありません。強調表示されたコピーは削除して借用で置き換えることができます。

let v1: vector<u8> = function_that_returns_vector();
let v2: vector<u8> = function_that_returns_vector();
assert!(&v1 == &v2, 42);
// ^ ^
use_two_vectors(v1, v2);

let s1: Foo = function_that_returns_large_struct();
let s2: Foo = function_that_returns_large_struct();
assert!(&s1 == &s2, 42);
// ^ ^
use_two_foos(s1, s2);

==自体の効率は同じままですが、copyが削除されるため、プログラムは効率が良くなります。